メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満を中心とした生活習慣病の危険因子(リスクファクター)が重なった状態を指します。単に太っているだけでなく、内臓に脂肪が蓄積していることが特徴です。
メタボリックシンドロームとは?
メタボリックシンドローム(Metabolic Syndrome)は、いくつかの身体的リスク要因が重なって存在する状態を指し、これらの要因が心血管疾患や2型糖尿病のリスクを高めることが知られています。メタボリックシンドロームの主要な要因には以下のものがあります:
- 腹部肥満: 内臓脂肪の蓄積が進むことで、特にお腹周りの肥満が顕著になります。
- 高血圧: 血圧が高い状態が続くこと。
- 高血糖: 空腹時の血糖値が高い状態、または糖尿病の前段階の状態。
- 高トリグリセリド血症: 血中のトリグリセリド(中性脂肪)の濃度が高い状態。
- 低HDLコレステロール血症: HDLコレステロール(「善玉」コレステロール)の濃度が低い状態。
メタボリックシンドロームの診断基準
メタボリックシンドロームと診断されるためには、上記のうち少なくとも3つ以上の要因が該当する必要があります。各要因の具体的な基準は以下の通りです:
- 腹部肥満
ウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上(日本の基準)。 - 高血圧
収縮期血圧が130 mmHg以上、または拡張期血圧が85 mmHg以上、または降圧薬を使用している。 - 高血糖
空腹時血糖値が100 mg/dL以上、または糖尿病治療薬を使用している。 - 高トリグリセリド血症
トリグリセリド値が150 mg/dL以上、または脂質降下薬を使用している。 - 低HDLコレステロール血症
HDLコレステロール値が男性で40 mg/dL未満、女性で50 mg/dL未満、または脂質降下薬を使用している。
メタボリックシンドロームの原因
メタボリックシンドロームは、遺伝と生活習慣の複雑な絡み合いによって引き起こされると考えられています。
1. 遺伝的要因
- 遺伝子は、体質や体脂肪の分布、インスリン感受性などに影響を与えます。
- メタボリックシンドロームになりやすい体質を持っている人もいれば、そうでない人もいます。
2. 生活習慣
- 食生活:
- 高カロリー、高脂肪、高糖質の食事
- 野菜や果物の摂取不足
- 朝食欠食
- 夜遅い食事
- 運動不足:
- 運動不足
- 長時間の座りっぱなし
- 睡眠不足:
- 睡眠不足
- 昼夜逆転の生活
- ストレス:
- 慢性的なストレス
- 喫煙:
- 喫煙
- 過度な飲酒:
- 過度な飲酒
3. 遺伝と生活習慣の相互作用
遺伝的要因と生活習慣は、互いに影響し合い、メタボリックシンドロームの発症リスクを高めます。
- **例えば、**遺伝的にメタボリックシンドロームになりやすい体質を持っている人は、高カロリー・高脂肪の食事を摂取すると、発症リスクがさらに高くなります。
4. その他の要因
- 加齢:
- 加齢とともに、代謝が低下し、肥満になりやすくなります。
- ホルモンバランス:
- 女性ホルモンの分泌量の変化は、肥満やインスリン抵抗性に影響を与える可能性があります。
3. メタボリックシンドロームの健康に対する悪影響
メタボリックシンドロームは、放置すると以下の深刻な病気を引き起こす可能性が高くなります。
- 糖尿病:血糖値が高くなり、インスリンの働きが弱まる
- 脂質異常症:悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が増え、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が減る
- 高血圧:血管に負担がかかり、動脈硬化を促進
- 心疾患:心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まる
- がん:特に、大腸がんや膵臓がんのリスクが高まる
4. メタボリックシンドロームを改善する方法
メタボリックシンドロームは、生活習慣の改善によって改善・予防することができます。具体的な方法としては、以下の5つが挙げられます。
- 食事:
- 野菜や果物を多く摂取する
- 魚や豆類などの良質なタンパク質を摂取する
- 脂肪分の多い肉類や加工食品を控える
- 塩分の摂取量を減らす
- 食物繊維を意識的に摂取する
- 運動:
- 週に3~5日、30分以上の運動を行う
- ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動を取り入れる
- 筋力トレーニングを取り入れる
- 禁煙:
- 喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を促進する
- 禁煙することで、メタボリックシンドロームのリスクを大幅に減らすことができる
- 節酒:
- 過度な飲酒は血圧や血糖値を上昇させる
- 1日のアルコール摂取量を適量以下に抑える
- 十分な睡眠:
- 睡眠不足はホルモンバランスを乱し、肥満や糖尿病のリスクを高める
- 毎日7~8時間程度の睡眠時間を確保する
6. まとめ
メタボリックシンドロームは、生活習慣の改善によって改善・予防することができます。メタボリックシンドロームが気になる方は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
参考サイト
- 厚生労働省「e-ヘルスネット」:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/94/4/94_4_794/_article/-char/ja
- 日本糖尿病学会:https://www.jds.or.jp/