
人間の弱さ、意志の弱さ
人間とは、なんと喉元が過ぎれば熱さを忘れる生き物なのだろうか。
ライザップを卒業し、見事な「結果にコミット」を手に入れた真由。
タイトなワンピースを着て街を闊歩し、世界を征服したような気分に浸っていたのも束の間。彼女を待ち受けていたのは、人生最大の敵――「圧倒的な解放感」と「リバウンドの足音」だった。
「もうプロの監視はない。今日くらい、ちょっと食べても大丈夫よね?」
その小さな甘えが、すべてのはじまりだった。
毎日の食事報告義務から解き放たれた真由の前に、封印されていたラーメン、タピオカ、そして「ポテトチップス(関西だししょうゆ味)」が次々と復活を遂げる。
筋トレをサボった体は、恐ろしいほどの吸収率でカロリーをスポンジのように吸い上げていった。

気がつけば、鏡の中にいるのは「綺麗なお姉さん」から、うっすらと「元のマシュマロ」に戻りつつある、見慣れた自分の姿。
「ウソでしょ……リバウンド早すぎない!?」
青ざめた真由は、脳内で緊急対策本部を立ち上げた。
【真由の脳内リバウンド対策会議】
プランA:ライザップへの再入会 「もう一度あの愛のムチを!」 → 却下。 財布のライフはもうゼロよ! あの費用をもう一度捻出するのは、一般企業のOLには無理がある。
プランB:自宅でのセルフ宅トレ 「初心に帰ってYouTubeを見ながら……」 → 却下。 自分の意志の弱さは自分が一番知っている。秒でポテチの袋を開ける未来しか見えない。
「お金はかけられない。でも、一人じゃ絶対に甘えが出る。どうすればいいのよ……!」
頭を抱えてスマホをいじっていた真由の目に、ある広告が飛び込んできた。
それは、あのライザップが作った、月額3,000円ちょっと(税込3,278円)で通えるコンビニジム、「chocoZAP(チョコザップ)」の文字だった。
「月3,000円!? ライザップの何百分の一よ……。でも、トレーナーがいないんじゃ、また私サボるんじゃ……?」
不安混じりで調べてみると、そこには驚きの進化が待っていた。
なんと、今のchocoZAPは「AIトレーナー」がスマホの中で24時間伴走してくれる時代になっていたのだ。
「これだわ……!」
真由の決断…新たな旅立ち

真由はすぐに入会し、仕事帰りにchocoZAPへ滑り込んだ。 そこは、かつての重厚な空間とは違い、私服のまま、スマホ一つでフラッと入れる信じられないほど気楽な空間。
「真由さん、今日の調子はいかがですか? マシンの設定はこれですよ」
スマホの画面の向こうから、AIトレーナーが優しく、しかし正確に呼びかけてくる。
かつてのライザップのように、ガチのプロにマンツーマンで見つめられる緊張感はない。しかし、AIは人間のトレーナーのように「今日は忙しかったからサボっちゃえ」という言い訳を、データとアルゴリズムで優しく論破してくる。 食事の写真を送れば、AIが瞬時にカロリーや栄養素を計算し、「午後のおやつを少し控えめにすれば完璧です!」と、怒りもせず、かと言って甘やかしもせず、完璧な正論で導いてくれるのだ。
「人間のトレーナーさんには『怒られたら怖いな』って嘘ついちゃうこともあったけど、AI相手ならプライドも恥もないわ。なんて気楽なの……!」
お財布に優しい月額料金は、真由の罪悪感を消し去り、 24時間いつでも頼れるAIの存在は、真由の「甘え」を絶妙にコントロールしてくれた。
こうして、高額な「強制ダイエット」から、AIと歩む「持続可能なズボラ習慣」へとシフトした真由。
現在の彼女は、過度な我慢をすることもなく、かといってリバウンドに怯えることもなく、スマートな体型をキープし続けている。

週に数回、コンビニ感覚でchocoZAPのドアをくぐり、スマホのAIとハイタッチを交わす日々。
今度こそ本当に、真由のダイエット狂騒曲は、リバウンドとは無縁のヘルシーな日常へと着地したのだった。
めでたし、めでたし。

