
「そろそろ痩せなきゃいけないのは分かっている。でも、いまいち踏み出すきっかけがなくて……」
ネットの検索窓に「ダイエット きっかけ が 欲しい」と打ち込んでいるあなたへ。厳しいことを言うようですが、まずは不都合な真実をお伝えしなければなりません。
あなたが待っている「完璧なきっかけ」は、一生来ません。
なぜなら、「きっかけが欲しい」という言葉の裏には、「誰もが納得するような強力な理由がまだないから、今はやらなくて良い」という、脳が仕掛けた精一杯の言い訳(自己正当化)が隠れているからです。
今回は、「動かざること山の如し」だった私が、ある日突然突きつけられた健康上のレッドカードから、脳のバグを騙して行動を起こし、数値をコントロールするに至った「理路整然とした方法論」をシェアします。
1. なぜ私たちは「やらない言い訳」を探してしまうのか?
人間の脳には「現状維持バイアス」という強力な防衛システムが備わっています。脳にとって、食事制限や運動といった新しい変化は「未知のストレス」でしかありません。そのため、脳はあなたを守るために自動で言い訳を作り出します。
「まだ本気を出していないだけ。良いきっかけさえあれば、いつでも始められる」
そうやって「開始のタイミング」を吟味している(風を装っている)うちは、まだ試合が始まってすらいないので、三日坊主でプライドが傷つくリスクを完全にゼロにできます。つまり、私たちは無意識に「失敗したときの保険」を引き延ばしているのです。
そもそもですが、ダイエットなどやらなくても良い事を「あえてやる」のですから、なかなか行動に移せないのは当然と言えば当然ですよね。それ自体がストレスになるから「背徳グルメブーム」などが騒がれるのでしょう。

2. 山を動かしたのは「前向きな動機」ではなく「おののき」だった
そんな「言い訳の天才」だった私の重い腰を動かしたのは、キラキラした前向きな目標ではありませんでした。強烈な「危機感(痛みの回避)」です。
私の父親は、腎不全による人工透析患者でした。間近でその過酷な闘病生活を見てきた私に、ある日、健康診断で突きつけられた数字。
HbA1C 7%
糖尿病の世界では、完全に「不可(治療・指導が必要)」のレッドカードです。 脂質代謝異常というベースがあった私にとって、この数字は「あのおののくような未来へ、年齢とともに坂道を転がり落ち始めている」という体からの最終通告でした。ぬるま湯が突如として熱湯に変わった瞬間、脳の言い訳は一瞬で消し飛びました。
人間が本気で動くのは、「痩せて褒められたい(快楽)」ときではありません。「このままだと本当にマズイ(苦痛)」と、骨身に染みて理解したときなのです。
永年の脂質代謝異常で投薬は受けていたのですが、なにしろ「痛くもかゆくもない」病気ですから危機感は全くないわけです。医師からは食事指導(それほど詳しい内容ではありませんがね)も受けていたのですが、そんなものは「どこ吹く風」とばかりに好きなものを好きなだけ食べる生活を送っていたわけです。甘いもの大好きですし、寝る前に「メロンパンを食べる」とかね。そんな事ばかりやっていたら良くなるわけがありません。その結果としてのHbA1C:7%という糖尿病の入口だったわけです。
3. 脳のバグを騙して「動かない腰」を動かす3つの方法論
とはいえ、実際に病気になってから動いたのでは手遅れです。危機感を持ちつつ、モチベーションという不確かなものに頼らずに「仕組み」で山を動かす方法論がこちらです。
ダイエットを始めるきっかけがつかめないと言ったあなたの悩みを少しでも解きほぐす、それこそ「きっかけ」になると良いですね。
① 静止摩擦力を極限まで下げる
物理の世界と同じで、物体が動き出す瞬間が最も大きなエネルギー(静止摩擦力)を必要とします。動き出してしまえば、あとは小さな力で進みます。 だからこそ、「明日から10km走る」ではなく、「とりあえずスニーカーを履くだけ」「今日食べたものをメモに1つ書くだけ」など、脳の防衛システムに気づかれないほどハードルを下げて、なし崩し的にスタートさせます。
もうすぐ夏で薄着になるからとか理由は何でもいいんですよ。まず一歩を踏み出してみると「新しい世界」が見えたりしてね。
② 「見えない恐怖」を可視化する
曖昧な不安は言い訳の温床になります。そこで私は、腕にペタッと貼る持続血糖測定器(フリースタイルリブレ)を導入しました。 自分の体で実験した結果、そこにあったのは「見事な血糖値スパイク(食後の急上昇)」。グラフという動かぬ証拠で現実を突きつけられると、もう「明日からでいいや」とは言えなくなります。
③ 「環境」という坂道を作る(仕組み化)
「食べるのを我慢する」という意志の力(エンジン)を使うから疲れるのです。家にあるお菓子をすべて処分するなど、「選択の葛藤自体が生まれない環境」を作れば、人間は重力に従うように自然と行動が変わります。
4. 私が検証して行き着いた「ありきたりで最強の対策」

数値をコントロールするために私がやったことは、拍子抜けするほど「ありきたり」なことでした。しかし、エビデンス(科学的根拠)に基づいた王道こそが、最も打率が高いのです。
やったことは大きく2つ、「食事管理」と「軽い運動」です。
特に、リアルタイムで血糖値(測定しているのはグルコースの値。両者には強い相関関係がある)フリースタイルリブレ2を使った検証で目に見えて効果があったのが「食前のわかめ酢」でした。 お酢に含まれる酢酸が糖の吸収を緩やかにし、わかめの水溶性食物繊維が糖質を包み込んでブロックしてくれます。あれだけ荒れ狂っていた血糖値スパイクが、今では嘘のように落ち着いた状態をキープしています。
リブレを取り付けてみてビックリしたというか納得したというか、ものすごい血糖値スパイクを起こしているグラフを見た時でしたね。この状態でHbA1Cが下がるわけないよなあと妙に納得したものです。
その時のグラフを恥ずかしながら載せておきます。ある日の1日を通した血糖値(グルコース値)の変動です。
3つの山がそれぞれ朝食後・昼食後・夕食後の血糖値(グルコース値)の動きとなります。
グラフのように「食後の急激な血糖値の変動」がくせ者なのだそうです。
朝食はまあ良いですが、昼食がいけませんですな。量を食べたわけではないのですがなぜかこんなことになっています。
こうやって具体的な情報に接すると「マズいなぁ」とお思いますね。(笑)

しばらくしたら、またリブレを使って自分の体で「答え合わせ(検証)」をしてみる予定です。
あと軽い運動ですが、食後に行うと良いそうなので、食後30分程度経過したところで「スクワット20回・かかと上げ40回・4kg鉄アレイの上げ下げ(腕の鍛錬ですね)」を2セット行うようにしています。
これでも10分とかかりません。が、サボる事もあります。続けるのはなかなか難しいですよ。

💡 よくある質問(FAQ)
- Q「きっかけ」を待たずに今すぐ始められる、一番ハードルの低い行動は何ですか?
- A
「いつも飲んでいるジュースや缶コーヒーをお茶に変える」、あるいは「食事の最初に野菜や海藻(わかめ酢など)を食べる」ことです。運動を始めるよりも、口にするものを1つ変える方が心理的ハードルが圧倒的に低く、今日から確実に実行できます。
- Q血糖値スパイクが起きているかどうかは、自分で気づけますか?
- A
食後に強烈な眠気に襲われたり、だるさを感じたり、急にイライラして甘いものが欲しくなったりする場合、血糖値スパイクが起きている可能性が非常に高いです。正確に把握したい場合は、記事内で紹介した「フリースタイルリブレ」などの測定器を試してみるのが一番確実です。
- Q「わかめ酢」は市販のものでも効果はありますか?
- A
はい、市販のパックのものでも十分に効果は期待できます。ただし、市販の三杯酢などには砂糖が多く含まれている場合があるため、糖質が気になる方は「生わかめ」に「純米酢」や「リンゴ酢」を少しかけて食べるのがベストです。
- Qダイエットのための「軽い運動」は、具体的に何をどれくらいすれば良いですか?
- A
「食後15分〜30分後」に、10分〜15分ほどその場足踏みをしたり、家事(片付けや掃除)をしたり、近所を散歩するだけで十分です。食後に体を動かすことで、筋肉が血液中の糖を取り込み、血糖値の急上昇を抑えてくれます。
- Q遺伝的に太りやすい・生活習慣病になりやすい体質でも、食事管理で変えられますか?
- A
体質(遺伝)の影響はゼロではありませんが、生活習慣(食事・運動)の工夫次第で数値は確実にコントロールできます。私自身、父親の病歴や自身の脂質代謝異常という「悪い転がり」を自覚していますが、正しい仮説と検証(食事管理と軽い運動)を繰り返すことで、現在は落ち着いた数値を維持できています。体質を言い訳にせず、「仕組み」でアプローチすることが大切です。
まとめ:あなたの「引き返せる最後の境界線」はどこですか?
「きっかけが欲しい」と検索している今のあなたは、まだぬるま湯の中にいます。しかし、年齢とともに、体は確実に悪い方へと転がり始めています。
何も、私のようにHbA1Cが7%になるまで待つ必要はありません。 「今日、食前にわかめ酢を飲む」。そんな1ミリの行動から、あなたの脳を優しく騙して、新しい一歩を踏み出してみませんか?
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参考情報
糖尿病とHbA1cの基準について
- 一般社団法人 日本糖尿病学会
- 糖尿病の診断基準や、HbA1c(ヘモグロビンA1c)の値が持つ意味について、日本における最も権威ある学会の公式情報です。
血糖値スパイクと生活習慣病予防について
- 厚生労働省 e-ヘルスネット(糖尿病)
- 食後の急激な血糖上昇(血糖値スパイク)が体に与えるリスクや、それを防ぐための基本的な食事・運動習慣について国がまとめている信頼性の高いデータです。
フリースタイルリブレ(持続血糖測定器)の仕組みと活用について
- 一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構
- リブレなどの「CGM(持続血糖モニター)」を用いた最新の糖尿病ケアや血糖管理の考え方について、専門的な視点から情報が発信されています。
お酢(酢酸)の血糖値上昇抑制効果について
- 独立行政法人 国立健康・栄養研究所(「健康食品」の安全性・有効性情報)
- 食前・食中にお酢を摂取することが血糖値の上昇を緩やかにするというエビデンス(科学的根拠)について、客観的な研究データを基に確認することができます。


