
「健康診断で高血圧を指摘されちゃった…」
「高血圧には塩分を控えればいいって聞くけど、それだけじゃないって本当?」
もしあなたが、そんな風に感じて、高血圧とメタボの対策に不安を抱えているなら、この記事はきっとあなたの力になります。高血圧の改善は、単に塩分を控えるだけでなく、食生活全体を見直すことが成功の鍵です。
今回は、高血圧対策とメタボ改善のための賢い食事術を徹底解説。「ゆるっとダイエット日和」流で、無理なく健康的な食生活を身につけ、高血圧とメタボの不安を解消しましょう!
なぜ高血圧には「メタボ」も関係するの?
高血圧とメタボは、密接な関係にあります。メタボリックシンドロームの診断基準には、高血圧が含まれていることからも、その関係性の深さが分かります。
1. 内臓脂肪と血圧の密接な関係
内臓脂肪が過剰に蓄積されると、高血圧を引き起こすリスクが非常に高まります。これは単に脂肪が血管を圧迫するからではなく、内臓脂肪そのものが、血圧に影響を与えるさまざまな物質を分泌するからです。
1. 血圧を上げる物質の分泌
内臓脂肪は、体に良い働きをする「善玉アディポサイトカイン」の分泌を減らし、逆に血圧を上げる作用を持つ「アンジオテンシノーゲン」や炎症性サイトカインを分泌します。これらの物質が、血管を収縮させたり、血管の内皮細胞にダメージを与えたりすることで、血圧を慢性的に上げてしまいます。
2. インスリン抵抗性の進行
内臓脂肪が増えると、インスリン抵抗性が進みやすくなります。インスリン抵抗性とは、血糖値を下げるインスリンが効きにくくなる状態のことです。この状態になると、体はインスリンを大量に分泌して血糖値を下げようとします。この過剰なインスリンには、腎臓で塩分(ナトリウム)を再吸収させる作用があるため、体内の水分量が増え、血圧が上昇します。
3. 血管の機能低下
内臓脂肪の蓄積は、血管の内側にある細胞(血管内皮細胞)の働きを悪くさせます。血管内皮細胞は、血管を広げる物質を分泌して血圧を調整する重要な役割を担っていますが、その機能が低下すると、血管が硬くなり、しなやかさが失われます。その結果、血圧のコントロールがうまくいかなくなります。
このように、内臓脂肪は単なる「お腹の脂肪」ではなく、体内で血圧を上げる物質を分泌したり、血管の機能を低下させたりする、いわば「臓器」のような存在です。したがって、高血圧対策のためには、内臓脂肪を減らすことが非常に重要となります。
2. 食生活の乱れが、高血圧とメタボを招く
食生活の乱れは、高血圧とメタボリックシンドロームという、見た目は異なる二つの病態を同時に引き起こす共通の原因となります。この悪循環の背後には、以下のメカニズムが関係しています。
1. 塩分過多が血圧を上げる
塩分(ナトリウム)を過剰に摂取すると、体は塩分濃度を薄めるために水分をため込もうとします。これにより、血液量が増加し、血管にかかる圧力(血圧)が慢性的に高くなります。高血圧対策で「減塩」が叫ばれるのはこのためです。
2. 糖質と脂質の過剰摂取がメタボを招く
食生活が乱れ、糖質や脂質を過剰に摂取すると、消費しきれなかったエネルギーが中性脂肪として体内に蓄積されます。特に、お腹周りにつく内臓脂肪が過剰に増えると、メタボの最大の原因となります。
3. 内臓脂肪が血圧をさらに上げる
話はここで終わりません。増えた内臓脂肪は、血圧を上げるホルモンを分泌したり、血管の機能を低下させたりします。これにより、高血圧がさらに悪化するという悪循環が生まれます。
4. 悪循環の始まり

上図のように、食生活の乱れは、内臓脂肪の増加と高血圧という二つの側面から、メタボリックシンドロームの完成に繋がります。
逆に言えば、食生活を改善し、内臓脂肪を減らすことができれば、メタボだけでなく高血圧も同時に改善できる可能性が高いのです。
【高血圧 食事術】塩分だけじゃない!見直すべき4つのポイント

高血圧対策といえば、塩分を控えめにすることが最も有名ですが、塩分だけじゃない、見直すべきポイントが4つあります。
1. カリウムを積極的に摂る
カリウムは、体内の余分な塩分(ナトリウム)を体外に排出する働きがあります。
- おすすめの食材: 野菜、果物、海藻類、豆類、きのこ類など。
- ポイント: 多くの食材に含まれていますが、特にほうれん草、じゃがいも、アボカド、バナナなどはカリウムが豊富です。
2. 食物繊維をたっぷり摂る
食物繊維は、食後の血糖値の急上昇を抑えるだけでなく、コレステロールを排出する働きもあります。
- おすすめの食材: 野菜、きのこ類、海藻類、豆類、未精製穀物など。
- ポイント: これらはカリウムも豊富なので、一石二鳥の食事術です。
3. 飽和脂肪酸・コレステロールを控える
飽和脂肪酸やコレステロールを摂りすぎると、動脈硬化が進み、血圧が上がりやすくなります。
- 控えたい食材: 肉の脂身、バター、生クリーム、ラード、加工食品など。
- ポイント: 肉は赤身を選んだり、調理法を揚げるから焼く・蒸すに変えるなど、メタボ 改善 食事の基本を意識しましょう。
飽和脂肪酸とコレステロールが血圧を上げるメカニズム
飽和脂肪酸やコレステロールの摂りすぎは、直接的に血圧を上げるわけではありませんが、動脈硬化を進行させることで、結果的に血圧を上昇させる大きな原因となります。
このプロセスには、悪玉コレステロール(LDL)が深く関わっています。
1. 悪玉コレステロール(LDL)の増加
飽和脂肪酸は、肉の脂身やバター、加工食品などに多く含まれています。これを摂りすぎると、血液中の悪玉コレステロール(LDL)が増加します。LDLコレステロールは、全身の細胞にコレステロールを運ぶ重要な役割を担っていますが、増えすぎると血管に悪影響を及ぼします。
2. 悪玉コレステロールが酸化し、血管に蓄積
増えすぎたLDLコレステロールは、活性酸素によって酸化LDLへと変化します。この酸化LDLは、血管の内壁を傷つけ、炎症を引き起こします。
3. プラークが形成され、動脈硬化が進行
血管の内壁に傷がつくと、そこに酸化LDLやマクロファージ(免疫細胞)などが集まって「プラーク」と呼ばれるコブのようなものが形成されます。このプラークがどんどん大きくなって血管の壁が厚く硬くなり、血液の通り道を狭めてしまいます。これが動脈硬化です。
4. 血液の流れが悪くなり、血圧が上昇
動脈硬化が進んで血管が狭くなると、心臓は全身に血液を送るために、より強い力で血液を押し出す必要があります。その結果、血管にかかる圧力が高まり、血圧が上昇するのです。
このように、飽和脂肪酸やコレステロールの摂りすぎは、悪玉コレステロールの増加を通じて動脈硬化を招き、最終的に高血圧を引き起こすのです。
4. アルコールを控える

アルコールを飲みすぎると、血圧が上がる原因になります。
- やり方: 飲酒量を減らす、休肝日を設けるなど、意識的にコントロールしましょう。
アルコールの過剰摂取が血圧を上げる3つのメカニズム
アルコールが血圧を上げる原因は、単にカロリーが高いからではありません。体内で起こる複雑な生理作用が関係しています。
1. 交感神経の活性化
アルコールを摂取すると、一時的に血管が広がって血圧が下がることがありますが、これは一時的なものです。アルコールが分解される過程で、交感神経が活性化されます。交感神経は、心拍数を上げたり、末梢血管を収縮させたりする働きがあるため、血圧を上昇させます。飲酒後に動悸がしたり、顔が赤くなったりするのは、この交感神経の働きによるものです。
2. 血圧を調整するホルモンへの影響
アルコールは、血圧を調整するホルモンのバランスを乱します。特に、レニンという血圧を調整するホルモンの分泌が過剰になり、腎臓での塩分(ナトリウム)や水分の再吸収を促します。その結果、体内の血液量が増加し、血管にかかる圧力が高まり、血圧が上昇します。
3. 血管の弾力性の低下と動脈硬化の進行
アルコールの過剰摂取は、血管の内皮細胞にダメージを与え、血管が硬く、もろくなります。これにより、血管が持つ本来の弾力性が失われ、血圧がうまく調整できなくなります。さらに、アルコールは中性脂肪を増加させる作用もあるため、動脈硬化を進行させ、血圧をさらに上げることにつながります。
これらのメカニズムが複合的に作用することで、アルコールを飲みすぎると血圧が上昇し、高血圧のリスクを高めてしまいます。適度な飲酒を心がけることが、高血圧対策には非常に重要です。
【メタボ 改善 食事】高血圧対策のための食事術実践編
メタボ 改善と高血圧対策を両立させるための、具体的な食事術をご紹介します。
1. 主食は「減塩・食物繊維」を意識する
- ご飯: 白米から玄米やもち麦入りに変える。
- パン: 食パンよりも全粒粉パンを選ぶ。
- 汁物: 味噌汁は具だくさんにし、汁は飲み干さない。
2. 減塩の工夫をする
- 香辛料や薬味を活用: 生姜、にんにく、カレー粉、コショウ、レモン、お酢などを活用し、塩分を減らしても味の満足度を保ちましょう。
- だしを効かせる: 昆布やかつお節でしっかりだしを取ることで、薄味でも美味しく感じられます。
3. 食材の選び方
- 肉: 鶏むね肉やささみなど、脂身の少ない赤身肉を選びましょう。
- 魚: サバやイワシなど、DHA・EPAが豊富な青魚を積極的に摂りましょう。
- 野菜: 生野菜だけでなく、加熱した温野菜もたくさん摂りましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q減塩調味料を使えば、塩分を気にしなくてもいいですか?
- A
減塩調味料も塩分がゼロではありません。使いすぎると塩分過多になるため、使いすぎには注意が必要です。
- Q高血圧でもお酒を飲んでいいですか?
- A
少量であれば問題ない場合もありますが、アルコールを摂りすぎると血圧が上がります。飲酒量を減らすか、休肝日を設けるなど、医師と相談しながら適量を守りましょう。
- Q運動もやはり必要ですか?
- A
はい、高血圧やメタボの対策には、食事と運動の両輪が不可欠です。ウォーキングなどの有酸素運動は、血圧を下げる効果が期待できます。
まとめ:賢い食事術で、高血圧とメタボを撃退!
高血圧対策は、塩分だけじゃないことをご理解いただけたでしょうか。今回ご紹介したメタボ 改善 食事術を実践すれば、あなたの体は必ず変わっていきます。
「ゆるっとダイエット日和」流で、ストレスを溜めずに高血圧対策を始め、健康的でアクティブな毎日を送りましょう!
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参考情報・エビデンス
- 厚生労働省. e-ヘルスネット:栄養・食生活と高血圧
- 厚生労働省. e-ヘルスネット:メタボリックシンドローム(メタボ)とは
- 日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン
- 大妻女子大学家政学部食物学科. (2020):『調理と食事の科学』朝倉書店
- 文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)



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